標準整形外科学(医学書院)によると
「後頚部から肩甲骨にかけての筋肉の強張り、不快感、違和感、鈍痛をいう。同一姿勢での作業、頚椎や肩関節の機能障害などによって僧帽筋に負担がかかって発生すると考えられている。仕事上の精神的ストレスが大きいと肩こりが強く感じる傾向がある。」
と、記されている。
興味深いのは、約800頁にわたるテキストの中で、肩こりについて書かれているのがこれだけということである。このテキストは整形外科学の基本的な書物であるため、概ね全ての内容を網羅する必要があり、従ってある程度の量になることは仕方ないと思うが、全人口における肩こりの有病率は50%とも言われるなかで、この量はちょっと違和感がある。
整形外科学では肩こりは軽視されているのだろうか。
そのようなネガティブなニュアンスというよりも、整形外科学というのは骨や関節の異常をベースに構築されているので、筋肉固有の問題がメインの肩こりは別ジャンルということではないかと思う。
(※標準整形外科学からの抜粋で、「頚椎・肩関節の機能障害」と書いてあるが、実際に肩こりとの直接的な因果関係は完成されていないと思われる。)