治療院・施術所選び ~具体例に則して~
2015/5/7
- マッサージ
- 一般鍼灸
- 鍼灸院の日常
実際にあった親戚との会話にて、私との質疑応答をご紹介します。
女性(60代後半)
坐骨神経痛を患っており、腰と足がだるく重い。現在、病院を含め3件(整形外科・整骨院・あんま屋)で処置を受けている。
先日、整骨院にて1回5000円の自費施術受けてきた。(2回目)
その施術の所要時間は体感的に3分弱、腰と足を擦っているだけと感じる。骨盤の矯正(?)を主体に根本的な腰痛治療を行っているという。
しかし、1回目もそうであったように2回目もやはり効果を感じられず。「こんなものなの・・・?」と一度は自分を納得させようとしたが、
不満と痛みが残り、結果的に月に1度通っているあんま屋さんに行った。
60分5000円で揉んでもらうと、心身ともにスッキリしたという。(※「あんま屋さん」と呼んでいるが、列記としたあんま・マッサージ・指圧師の国家資格を取得している施術所)
そして、このような一連の流れを整形外科で説明し、医師に意見を聞くと、
「どちらの施術所にも行かないほうが良い。」と言われたという。
「もう、何が正しいのかわからない・・・。」ということで以下のような問答となった。 (Aは私の見解と回答)
Q 整骨院で受けたこの施術は普通なのか?1回で数分5000円(自費施術)の整骨院はインチキなのか?
A 「普通」の整骨院は、健康保険を使用してマッサージ的なこと(?)をしていることが多いので、自費で5000円は珍しい。しかし、近年は整骨院の施術が徐々に自費に移行している傾向がある。
「インチキ」か否かは、それを適切に図る物差しが私にはないので不明。「インチキ」だとするなら、施術を受けられた本人がそのように感じるならば、そうなのかも知れない思う。ただ、「一施術者」としては、その整骨院の方が意図的に「インチキ行為」をしているより、むしろ「本気」で改善させようとしているではないかと感じた。近頃、当鍼灸院を含めて頻繁にDMが届く、内容は鍼灸・整体・マッサージ・各種手技療法と実に様々な指南書(教材の宣伝)である。共通していることは短時間で高単価の施術を行えるものが多いと思う。この種の教材を購入した経験は数回あるが、個人的には決して「インチキ商品」売っている訳ではないと思っている。「誰にも簡単に!」「初心者の施術者でも!」と魅力的な文言が並んでいるが、臨床現場で本当に効果が出せるかは各施術者の技術に依存する気が・・・。
Q 整形外科の医師の言葉を信じるべき?
A ケース・バイ・ケースである。整形外科医は、素人が単なる肩こり腰痛も思われる症状の中から、最悪の場合では命に関わるような重篤な病をも発見し、適切な処置を行ってくれる。そのような時には、当然医師の指示には従うべきだろう。しかし、湿布を何年にも渡り処方するのみだったり、ひたすら電気治療ばかり行ったりしている状況で、且つ症状の改善もなく、医師から明瞭な説明が得られない場合は積極的に代替医療(今回の場合、整骨院やあんま屋)等で処置してもらうことが良いかと思っている。
Q 結局どこに通えばよい?
A 極論ではあるが、経済的なことを度外視すでば3つ全てに通っても問題はない。それぞれに意味があると思う。そもそも、この3つは似て非なる物であるということ、つまり、対等に比べる事が困難なものなのである。スタイルも違えば、目的や処置のプロセスが少しずつ異なる。
まず、整形外科。仮に、医師より適切な処置を得ておらず、治療効果が全くないとする。しかし、診察・診断は医師の特権であり、医師にしか許されていない重要な行為である。万が一の重大な事態を避けるためにも、定期的な(と言っても月に1回程度)受診には意味がある。
次に、整骨院。この自費で5000円の施術を行う整骨院は「本気で腰痛を治しにきている」と、私は思っている。ただ、結果がでなければ無意味だとも思う。数分の施術で5000円は結果が明瞭に出てナンボではないか。仮に、数回は結果の出ないことに甘んじる必要があるのであれば、それはキチンと説明しなければならないと思う。(実際には、症状の経過や予後の説明はなく、回数券など金銭的なことばかり言われたらしい。)
最後に、あんま屋。(この件に関しては、大変偏見があることをご了承いただいた上で・・・。)あんま屋の話を聞く限りでは、「治療」的な狙いで施術しているというよりは、「癒し」的な目的で施術をしていると感じた。身体の状態を中長期的に改善させることよりも、短期的な爽快感を重視しているのではないだろうか。この方があんま屋と呼んでいることからも察することができる。(「マッサージ治療院」や「あんま治療院」と呼ばないところをみると・・・)ただ、重要な事実として、あんま屋さんが一番結果を出している。実際に数日間は身体が軽く、症状も軽減、気分も良いらしい。
以上のことを踏まえながら、経済的な事由を考慮し、勝手に優先順位を付けるならば・・・。(※そもそも、比べるものではないと言いながら順位とは如何なものか・・・)
あんま > 整形外科 >> 整骨院 であろうか。整骨院を完全に切れない理由があるならば、「整形外科とあんま屋」間の通院ループは数年続いており、改善したとは言いがたいようだ。改善の方向へ舵を切るという点では、治しにきている整骨院の施術は魅力を感じる。ただし、どうせ行くならば予後や症状説明を明瞭に行うところが望ましい。
まとめ。このようなやり取りは、決して珍しいことではなく、鍼灸院のベッドサイドトークでも実際によく行われているように思う。「整骨院」の部分を「鍼灸院」に置き換えてもよいし、「あんま屋」を「保険を適用してマッサージ(?)」を行っている整骨院に置き代えてもよいだろう。
何れにしても、我々「鍼灸院」というのは1回5000円程度の自費を頂いて「治癒を目指して」施術を行う場所であるということ。
決して、結果を出せないばかりか、症状・予後の説明もせず、ましてや回数券を売る事に必死にならないようにしたいものである。
自戒の念を込めて。
(著者:伊藤圭人)
メディカルマッサージを取り入れた鍼灸院
肩こり・腰痛から原因不明の症状まで
はりきゅう いとう治療院@緑地公園