いとう治療院ブログ

【治療戦略と症例】 肩の痛み

2013/9/11

【患者情報】70代後半女性

【主訴】肩の痛み

【その他】
・服薬:甲状腺機能低下に対して・抗不安剤・高コレステロールに対して
・数週間前から胃腸障害

【所見など】
・座位にて頚部の凝り(風池や頚椎2・3番の横突起の押圧で気持ちよい痛み)
・右腋窩に自覚的に凝り。局在は不明瞭
・左肩外転時に左肩上部に痛み(肩井)
・肩こりや腰の疲れが慢性的にある
・仰臥位で股関節深く屈曲する時に左 前脛骨筋 下部に張りを感じる
・腹部:左鼠径靭帯・右腹部に緊張

【処置1】
・腹部において、左鼠径部から右季肋部への斜めの緊張が一番目立つ
⇒?血処置 ⇒ 左中封・尺沢

・脈状の大・やや浮脉、脉差(左寸口の虚)から
⇒脾虚として経絡調整 ⇒ 大陵・太白の補法

・脉状診と気口九道脉診
⇒表虚、小腸経(経筋)の虚として ⇒左肩部小腸経筋に浅刺補法

・右帯脉筋群の硬化
⇒右帯脉刺鍼

【処置2】
1週間前の初診と比較してにて激しい痛みなし。普段の鈍痛・肩こりに近づく。

・脉状に右関上の虚があり脉状が肝実を呈している。小腸経の虚は改善し、大腸経に実を感じる

・一番気になったのは衝脈の異常(気口九道脉診)
⇒内関・公孫にやさしく刺鍼(⇒これは、所見の変化を出せず)

・曲池の凝りに刺鍼(結合組織活性処置)

・右脊柱起立筋の深部の硬化(表層は弛緩)
⇒反応の強い兪穴に丁寧に補鍼

・左ヤコビー線が下がる。左肩甲骨の下精制に対してバランス調整
⇒左京門・左腕骨

最終確認にて、左C4横突起と右肩の軽い張りを訴えたので、
⇒切皮瀉

【考察とコメント】
年齢的なものや、日常の肩こりや腰の疲れからも分かるように、慢性的な疲労レベルが増悪して「凝り」から「痛み」となっているもの。
痛みは肩上部に集中しているが、他にでていてもおかしくはない構造的なバランスであった。
2回施術後、数ヶ月経過したのちご紹介のお電話とともに、この時に施術にて症状が消失して快適であるとの嬉しい報告を頂いた。

※記号 399-1