【鍼灸と適応疾患】頸椎 椎間板ヘルニア
2013/9/20
- 鍼灸と適応疾患
頚肩腕症候群・・・頸部(首)・肩・上肢(腕)が相互的に関連した一連の症状です。よく言われる、首や肩が原因で腕が痛む・痺れるなどはこの部類のことが多いと思われます。その中に頸椎のヘルニアも含まれます。
♠ 頚部椎間板ヘルニアと鍼灸
脊椎と脊椎の間にある「座布団」のようなものが椎間板です。首から腰まで全ての背骨の間にあり、首の骨(頸椎)にあるものを「頸部椎間板」よよびます。椎間板ヘルニアとは、椎間板が退行性変性(加齢的な変化)を起こし、繊維輪の断裂部から脱出もしくは突出した髄核が神経根や脊髄を圧迫して生ずる病態を言います。ヘルニアは「飛び出す」というラテン語です。椎間板を「おまんじゅう」のような物と想像してください。饅頭[椎間板]の皮[線維輪]の裂け目[断裂部]から餡子[髄核]が飛び出し、神経の根本や脊髄を押さえつけて肩・腕・指に痛みやしびれが出るものです。
髄核の脱出方向は後方および後側方が多い。後方への脱出は正中ヘルニアと呼ばれ、脊髄を圧迫し脊髄症状を呈する(脊髄症)。後側方への脱出は神経根を圧迫し神経根症状を呈する。30代から50代の男性に多く発生すると言われ、頚椎(以下C)5とC6の間、C6とC7の間、C4とC5の間の椎間板で好発する。転落、交通事故等の外傷によるものが多いが、原因不明で発生するものも2割ほどある。頚部の痛み、運動制限・神経根症状・脊髄症状・バレリュー症状(交感神経症状)などの症状があらわれる。
鍼灸院の臨床においては、外傷の場合、負傷直後の椎間板ヘルニアの方を担当することは原則ありません。外傷直後の場合は、整形外科に行くのがセオリーです。きちんとした検査と治療が必要ですし、何よりも受傷者自身がそれをよく実感するレベルの怪我です。また、怪我が原因でないヘルニアでも脊髄症の方は鍼灸適応外です。神経内科に行きましょう。これもご自身が鍼灸している場合じゃないハッキリとわかるレベルです。稀に軽いケースがありますが、脊髄症の特徴は、鍼灸院で対応可能な神経根症が片側の症状なのと比較すると両方に発生します(特に指や腕)。
鍼灸院へ来られる椎間板ヘルニアの方は「神経根症状」です。片側の症状がほとんどです。頸椎の隙間から出ている神経(これを神経根と言います)が障害されると、末端にある部分(首)肩・腕・指に痛みやしびれが出ます。上記の「病院に絶対行ってね!」の疾患よりは軽いですが、それでも通常の肩こりや筋肉痛に比べると、重い症状と感じることでしょう。何よりも症状が長く続いているケースが多いと思います。
(→→→参考) 体験談<12>右手の痺れ・肩の違和感 ~頚肩腕症候群に対する鍼灸~
肩こり・腰痛から原因不明の症状まで
はりきゅう いとう治療院@緑地公園 吹田・豊中市