【鍼灸と適応疾患】 鍼灸の不適疾患・症状と注意点ついて
2013/9/13
【脊髄症】下肢にしびれ感や歩行障害がある。また、膀胱や直腸の障害がある。
頚部・上肢の痛みと同時期に下肢や骨盤内臓器の症状があることはよくありますが、下肢症状が腰椎や仙椎由来ではなく、頚椎由来である場合がこれに該当します。握力低下や巧緻運動障害がある時も注意します。
膝蓋腱反射の亢進やバビンスキー反射陽性などが見られます。
※巧緻運動 指先の細かい動きの総称
【頚椎・頚髄部の腫瘍】症状の激しさや仮に効果があっても一向に回復せずに進行性に悪化する場合は注意が必要です。他の記事でも述べた神経根症は概ね「機能的障害」としますが、腫瘍の場合は完全に「器質的障害」であり鍼灸治療で根治することは限りなく不可能です。(医科と並行して疼痛管理を行うことは可能「対症療法」として)脊髄症と同様の症状も呈します。
【激しい自発痛】自発痛とは動かさなくても痛いということです。自発痛自体は普通の肩こりでも見られます。そもそも自発痛で何を判断しているかというと、筋や骨、関節由来の痛みではなく内臓由来ではないかと疑う為であります。激しい自発痛の場合、運動器以外の原因、究極的には腫瘍の場合があることを念頭に置きます。
【炎症や外傷】外傷後の疼痛や炎症について、程度の問題はありますが鍼灸の適用範囲ではあります。しかし、頚髄を始めとした血管・神経などに損傷がある場合は鍼灸治療より前に医科での受診が必要です。
【ホルネル兆候】縮瞳・眼裂狭小・眼球陥入の三大兆候を示します。パンコースト腫瘍という肺がん一種で見られるようです。私は10年の鍼灸臨床では、まだ出会ったことのない兆候です。