【腰痛】 日本の腰痛について(Wikipedia)
2013/7/26
「日本は腰痛が有訴率第一位(もっとも多い症状)であり、日本人の8割以上が生涯において腰痛を経験している腰痛大国である。しかし多くの人々は腰痛を訴えているが、画像診断に異常が見られない患者は疾患として認めらず健常者という扱いとなる。病院では医学とはあまり関わりのない一般的な説明や医師独自の解釈による説明などがなされるものの、実際には腰痛患者の8割は原因が特定されておらず、多くの患者はそのまま放置されているのが実態である。」とwikipedia 腰痛には記載があります。
鍼灸臨床において、初診患者の大多数が腰痛を来院目的に書くことを考えると、この日本人の有訴率も納得できる。生涯として計算すると実際はほぼ100%と言っても良いのではないという印象でもあります。
「腰痛があっても、画像診断に異常が見られない患者は疾患として認めらず・・・」というのは肩こりのパートでも書いたように、骨・関節などの器質的異常(形態的に問題あり)をベースに形成されている整形外科「学」の特徴であるように思われる。8割の方が原因不明というのは、2割は整形外科的範疇で解釈できるが、8割ができないということであろう。しかし、その原因不明の8割の腰痛を鍼灸臨床的に解釈すると、決して原因が不明とは言い難い。つまり、触診や運動診(関節を動かしながら診察・検査)、様々な理学所見を組み合わせるとある程度の病態が見えてくる。このあたりは、肩こりよりも病態判別はしやすいように思う。そこから見えてくるものは筋肉の異常(腱・靭帯の軟部組織の問題を含む)である。もちろん、軟部組織の損傷については、整形外科学でも十分に理解できるものであるが、異なることは整形外科学では、発症が外傷であったり、明らかな炎症反応が見られる急性期の状態が多い。また、椎間板ヘルニアのような軟部組織の変性が画像で認識できるものもある。鍼灸臨床で見る筋肉に異常は所謂「凝り」である。腰の凝りとはあまり言わないが、炎症や急性症状の逆の概念と考えるとよい。つまり、急性状態は炎症反応などの充血状態なのに対して、慢性の特徴である虚血状態なのである。これは画像診断では認識しずらい。「凝り」とは血が乏しく、カラカラに乾いたような、ゴリゴリして弾力を失った状態と解釈して頂くと良いと思う。
この話は、私がベッドサイドにおいて患者さんによくお話する内容ですが、「整形外科」も決して軽視しないで欲しいというを必ず伝えます。仮に腰痛の2割である原因不明の疾患が隠れていたら確実に整形外科での治療が有効であるからです。