【鍼灸の戦略と症例】右上肢の痛み・だるさ
2014/4/22
- 鍼灸の戦略と症例
【患者情報】 30代 女性 会社員
【主訴】 右上肢がだるくて・痛む
【現病歴】 特に変わったことはしていないが、右背部から右上肢にかけて痛み(だるさ)がある
【所見】 右肩甲骨周囲や脊柱の際に筋肉の硬さがある
【処置】
1回目 症状の発生部位から手陽明経筋の障害として反応のあった曲池に丁寧に雀啄刺鍼する
2回目 耳の下の違和感を訴えていたので、触診すると翳風や天ユウ不快感や圧痛があった。腹診の結果、右天枢領域にやや筋肉の緊張あり
⇒扁桃処置を適用する。扁桃7点の処置後に症状半減、その後前腕の手少陽の経筋病巣に凝りを解すように丁寧に刺鍼 耳の症状と右上肢~肩の症状が緩解する。
【考察・戦略】
1回目の治療後にもほぼ症状は取れており経過も良かったのだが、一週間後の来院では再発という印象であった。やはり、局所的な鍼灸では足りずに扁桃反応というバックグラウンドの処置が必要であったのであろう。耳の下の反応経穴の翳風(むしろ翳明)や天ユウは扁桃反応の観察部分である。
長野潔先生は「結合組織に対する処置において鍼灸の右に出るものはない」と言ったらしい。その言葉を信じて、凝りなどの経筋病巣には丁寧な刺鍼を心がけている。手技はもちろん補鍼であり吸気抜鍼。肺のフイゴで結合組織に酸素(気)と栄養を(血)を送りこんであげるのである。
【キーワード : 経筋鍼灸 扁桃処置 三焦経 結合組織活性処置】
※記号138-1