いとう治療院ブログ

【鍼灸の治療戦略と症例】腰痛

2015/8/25

  • 一般鍼灸
  • 伊藤圭人 ~自律神経と身体のバランスを作る 鍼灸師~
  • 鍼灸と適応疾患
  • 鍼灸の戦略と症例
腰痛 鍼灸治療

腰痛 (※これはイメージです。)

【患者情報】

男性 40代

【主訴】

腰痛

【現症】

3日前に重い鞄を持ち上げた際に左腰が痛くなる。安静にしていると痛みはないが、動かすと痛い。特に捻じる動作において。

翌日(2日前)は疼痛が治まるが、翌々日(昨日)の起床時に再度痛みが起こり、今日に至る。

【随伴症状】 ※多種あるが今回は考慮せず

【所見】

★構造

・左寛骨(骨盤)の前方回旋(前に回転している状態)

★脈状

・緊脈、弦脈

★腹症

・季肋部に抵抗と圧痛

・左天枢および中注大巨(オ血として)

【戦略】

所見上はは典型的な肝実の状態である。疼痛を解除するためにはまずこれを取ればよい。

→長野式鍼灸にて「肝実」の処置を行う。

しかし、肝実になっている原因を考慮しなければ再発もしくは症状の残存があるだろう。

→骨盤の構造的な問題より、この「肝実」の裏には「胃の虚」がある。

※「胃」とは「胃袋」を指している訳ではありません。臓腑としての「胃」です。もっと厳密に言えば、胸椎12番に付随するもの。これは憶測ですがT12に関連する自律神経の中枢であると思われる。(伊藤の見立て)

【処置】

仰臥位にて

・緊脉・・・疼痛による自律神経の乱れ(交感神経優位)に 尺沢・復溜

・弦脈・季肋部の抵抗・・・肝実処置(肝実5点) 右復溜・漏谷・尺沢・少海・ゲキ門

・左中注大巨(オ血)・・・オ血処置 左中封・尺沢

腹臥位にて

・左天枢の残存・・・肝門脈鬱血処置 大腸兪、左会陽

※大腸兪の補鍼は肝兪の実性の硬化を除去する一つの方法である。

・左胃兪(T12)、右三焦兪(L1)→左心兪(T5)、右C3

※T12L1は対側に反応を出す。T12とT5は同側に。T5とC3は対側に。また、右C3は肝実の処置において欠かせない箇所。

置鍼を経て。再度仰臥位。

・胃の虚を補う ・・・ 外ネーブル(長野式)のようなイメージ 関元、水道、天枢、中カン

※この処置はデルマトームとミオトームの双方をうまく利用してT12つまり「胃の腑」を活性化すいる良い方法と仮定して利用している。

【キーワード】 腰痛 胃の虚 肝実 左寛骨前方回旋

豊中市・吹田市の市境にある腰痛治療の鍼灸院

はりきゅう いとう治療院@緑地公園