いとう治療院ブログ

鍼灸治療:東洋医学から科学で証明された効果

2024/7/10

  • 一般鍼灸
  • 鍼灸と適応疾患

この記事では先日放送されたNHK ワールドJAPAN『Medical Frontiers』についてお届けいたします。

鍼灸治療の有用性と医療への適用について分かりやすく紹介されています。「鍼灸治療…本当に効果があるのだろうか?」と懐疑的な方々、「鍼灸治療の良さをもっと発見したい!」という方に非常に有益な番組となっています。

この記事では、番組の内容を端的にお伝えし、興味関心を持って頂けると幸いです。番組自体は、アーカイブがあり当面は視聴可能です。


NHK ワールドJAPAN『Medical Frontiers』とは

「Medical Frontiers」は英語番組で世界160国と地域で配信されている情報番組です。

[2000年の歴史を持つ伝統医学、現代医療と融合して進化中]

鍼灸治療は、2000年以上の歴史を持つ伝統的な東洋医学です。近年では、その効果を科学的に検証する研究が進み、西洋医学の現場でも取り入れられるようになっています。

鍼灸の古典「黄帝内経素問」(こうていだいけいそもん)紀元前200年頃(前漢)から220年(後漢)の頃にかけて編幕

(出所)https://www.nichiyaku.ac.jp/kampomuseum/7-1.html「日本薬科大学」

[ツボと経絡:体のエネルギーの流れを調整]

鍼灸治療は、体内の臓器に繋がる経絡(エネルギーの通り道)と、その経絡上に存在するツボを刺激することで、

体のエネルギーの流れを調整します。これにより、血流が改善され、痛みが軽減されると考えられています。

身体をめぐるエネルギーライン「経絡」

身体をめぐるエネルギーライン「経絡」、近年ではその存在を明らかにしようとする研究も進んでいる

[鍼灸治療による気血調整のメカニズム]

  • : ツボを直接刺激することで、気血の流れを促進し、滞りを解消する。
  • : 艾(もぐさ)を燃焼させてツボを温めることで、気血の巡りを活性化し、冷えや痛みを改善する。

[現代医療との融合:脳卒中後遺症やアトピー性皮膚炎にも効果]

現代の鍼灸治療は、西洋医学と融合し、幅広い症状の治療に活用されています。例えば、脳卒中後の後遺症や

アトピー性皮膚炎などにも効果が期待できます。

[脳卒中後遺症:顔面麻痺や感覚障害の改善]

脳卒中後の後遺症である顔面麻痺や感覚障害に対しては、顔や頭、首などの特定のツボを刺激することで、血流を増加させ、痛みや不快感を軽減します。他にも鍼に電気刺激を加えることで、脳と脊髄からのオピオイド(痛みを和らげる物質)の分泌を促すことができます。

[アトピー性皮膚炎:痒みや炎症の改善]

アトピー性皮膚炎とは、皮膚の炎症が慢性的に続く疾患です。

症状:かゆみ、湿疹、乾燥などの症状が現れ、日常生活に支障をきたすこともある皮膚疾患です。

今回番組ではアトピー性皮膚炎に対して、鍼灸治療と薬物療法を組み合わせることで、症状が改善されることが放送されました。実際に、患者からは「頭の隅にあった痒みがなくなった」などの声がインタビューから聞かれています。

[足三里のツボ:敗血症の炎症を抑える]

足三里は、膝から指先に向かって下へ3寸のところに位置するツボです。研究によると、足三里のツボを刺激することで、炎症を抑える強力な効果が確認され、組織を修復する効果も確認されています。

[メカニズム:迷走神経とドーパミン]

足三里のツボ刺激がなぜ敗血症の炎症を抑えるのか、そのメカニズムはまだ完全には解明されていません。しかし、迷走神経とドーパミンが重要な役割を果たしていると考えられています。

[鍼灸治療は科学的根拠に基づいた治療法]

このように、鍼灸治療は様々な症状に対して効果が期待できるだけでなく、そのメカニズムも日々研究と臨床を通して科学的に解明されつつあります。

番組情報

参考文献

*今回紹介したNHK ワールドJAPAN『Medical Frontiers』は視聴期間:二年間あります