--どんな患者さんが多いですか?
肩こりや腰痛をきっかけで来院された方が多いですね。ただ、丁寧にカウンセリングを行うと『身体がだるい』『お腹の調子が悪い』といった漠然とした症状、所謂、「未病」の方も多くおられます。これらの方々に対して、自律神経や身体のゆがみを調整することを軸に治療にあたっています。
--通院の頻度はどのぐらいになりますか。
症状や希望する回復スケジュールに合わせて、患者さんと相談しながら決めていきます。治療開始の時期はし 週に1回から2回が多く、身体の状態が改善するにつれて月2回から1回へと間隔を空けていきます。自覚的な 症状が改善しても「予防的な観点」や「心身の能力向上」を期待して定期的に通院を勧めるケースが多いです。
--身体の状態を『外側と内側』という観点で診ておられるようですが、これは院長独特の考え方ですか。
東洋医学には「陰」と「陽」のように二元論的に考える風潮があります。この陰陽論を応用した考えです。外側とは筋肉のコリやハリ、骨格のズレや歪みといった見える形【構造】の変化を意味します。
内側とは血流、神経バランスといった臓器や身体の働き【機能】、つまり見えない身体の内側を意味します。「内と外」だけでなく「上下」や「左右」も同様に考えて全身を把握するようにしています。
--『いとう治療院』は『総合診療』的な役割を担う治療院を目指しておられると聞きました。
先ほども申し上げました「全身を診る」「原因を追究する」ことも大切ですが、「この症状は果たして鍼灸院で 治療するべきだろうか?」という視点も大事にしています。 鍼灸院にはあらゆる症状の患者さんが来院されます。中には鍼灸治療が不適な状態や他の治療法が適する ケースもあるのです。身体全体を診ることで病の本質や原因を把握し、医院や接骨院やカイロプラクティックなどへの受診を勧めることもあります。かかりつけ医ならぬ、『かかりつけ鍼灸師』のような役割を担い地域医療に貢献したいと考えています。
--実際の治療の流れをお伺いできますか。
はい。まず、立ってもらったり、ベッドに腰掛けてもらったりして、身体のゆがみを診ます。デスクワークの 仕事をしている患者さんが多いので、座った姿勢を重視しています。次にベッドに寝て頂き、「手の脈(脉)」と「腹」を診ます。脉診と腹診です。カウンセリングも重要です。生活状況や症状について詳しく聞かせて頂きます。これらの情報を総合的に考え、身体のタイプそして治療法を決定します。施術中は常に全身を考え、原因を追究に努めています。
--患者さんの『未来』を意識した治療を行っているそうですが、どういうことですか?
治療において過去の病歴・生活状況などの情報と今ある症状との繋がりを意識することは、比較的よく行われ ていることだと思います。これは、「今」もしくは「今まで」を診ている治療だと思います。痛みの改善や病気を 治して元気にする治療は、今までのマイナスをゼロにする力がありますが、さらにプラスに変えていくには、術 者自身は積極的に「未来」を見据えていく必要があると思っています。「出来なかったことを達成したい!」「自 分を変えたい!」そのような気持ちを身体から湧き出るエネルギーとして提供したいのです。 通院しながら、身体の変化と同時に『ワクワク』や『トキメキ』を感じて欲しいですね。
--最近ではどのような『未来の提供』や『トキメキ』を実現しましたか。
例えば、持病に潰瘍性大腸炎がある方についてですが、お腹の気持ち悪さや動悸を訴えておりました。 この方の病の本質は自律神経の調整能力の弱さと認識し、これを整える治療を始めました。定期的に通院して頂 くことで身体の不調は徐々に消えて1カ月に10日程度しか出勤できなかった仕事がより多く出勤できるように なりました。他には、一時期は歩行困難に陥った為一度は諦めた趣味の観劇を再開できたり、ゴルフで痛めた腰を治療することで、ケガの前よりもむしろスコアがアップしたりしています。 多くの叶えたい『未来』が現実になる予感があると、それは『トキメキ』に変わり、日々が楽しく幸せに過ごせるようになります。
--伊藤院長が考える『いとう治療院の未来』についてお聞かせください。
鍼灸医学・東洋医学は『心身一如』という考えがあります。心と身体は一つということです。身体のみならず 心へのアプローチも可能にしていきたいと考えています。臨床心理士など心理の専門職の方々と協働していける 治療院を実現したいです。また、運動療法や介護予防運動の活動にもチャレンジしていきたいですね。
--メディカルマッサージも検討されているようですね。
はい。私自身、治療に行く「一患者」です。鍼灸院に行くこともあれば、手技療法の治療院やマッサージ系に行くこともあります。しかし、癒し系のマッサージは沢山あるのですが、治療を主体に行っているマッサージ治療院はあまり多くないように感じております。そのよう経験から、国家資格であり医学的知識があるあんまマッサージ指圧師が「治療」で活躍している治療院に魅力を感じます。はりきゅう いとう治療院は、私の患者経験から「こういう治療院を作りたい!」という思いが結実したものなので、マッサージ治療院も是非実現してみたいです。
--最後の質問になりますが、治療以外の取り組みについてはいかがでしょうか。
はりきゅう いとう治療院は平成26年度より (有)いとう治療院となりました。院外では、治療家の育成や介護予防教室の開催なども検討しています。院内では美容鍼灸治療にも力を入れていきたいですね。美容分野も未来志向であったり、トキメキを提供できたりする大切なものだと感じています。 目の前の患者さん一人一人を大切にしながら、私自身も患者さんと一緒に未来を見つめていきたいと思います。
(平成26年4月)